シェリング 観念論の巨匠 『超越論的観念論の体系』『神話の哲学』『啓示の哲学』

イントロダクション

ドイツ観念論の潮流を生み出した立役者といえば、カント。

では、そのカント哲学をさらに発展させ、独自の境地へと昇華させた人物は？

その答えの一つが、フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヨーゼフ・シェリング(1775-1854)です。

24歳という若さでイェーナ大学教授に就任した早熟の天才は、主著『超越論的観念論の体系』(1800年)で、自然と精神を統一的に把握しようと試みました。

しかし、シェリングの探求はそこで終わりません。

その後、ギリシャ神話やキリスト教といった、一見哲学とは相容れないように思える領域へと深く分け入り、独自の哲学体系を築き上げていきます。

今回は、そんなシェリングの足跡を辿りながら、その思想の核心に迫ります。

フリードリヒ・シェリングの生涯

フリードリヒ・シェリング（1775-1854）は、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人として、西洋哲学史に名を刻んでいます。

1775年、ドイツのレオンベルクに生まれたシェリングは、チュービンゲン大学で神学を学び、早くから哲学的才能を開花させました。

23歳という若さでイェーナ大学教授に就任し、当時の知的中心地であった同大学でフィヒテやヘーゲルらと交流しながら、独自の哲学体系を構築していきます。

1800年に刊行された『超越論的観念論の体系』は、シェリングの初期の主著として知られています。

この著作で彼は、フィヒテの主観的な観念論を批判的に継承しつつ、自然と精神の統一的な原理を「絶対者」として捉えようと試みました。

自然は精神が無意識的に活動している状態であり、精神は自然が意識的に活動している状態であると考えたのです。

その後、シェリングは自然哲学、芸術哲学、神話哲学、啓示哲学など、多岐にわたる分野で独創的な思想を展開していきます。

特に、1800年代初頭に執筆された『芸術の哲学』は、ロマン主義運動と深く結びついたものとして、後世に大きな影響を与えました。

シェリングは芸術において、無意識的なものと意識的なもの、自然と精神が完全に調和した状態が実現されると考え、芸術を哲学の頂点に位置づけたのです。

シェリングの幼少期と教育

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・シェリングは、1775年、ドイツのレオンベルクに牧師の息子として生まれました。

幼い頃から秀才として知られ、10歳で神学校に入学、その後16歳という若さでチュービンゲン大学に進学しました。

この頃、シェリングは、ヘーゲルやヘルダーリンと同級生として切磋琢磨し、ドイツ観念論の形成に大きな影響を与えることとなります。

特に、フィヒテの超越論的哲学に傾倒し、その影響を色濃く反映したのが、23歳の時に著した『超越論的観念論の体系』でした。

この著作は、当時の哲学界に大きな反響を呼び起こし、シェリングは若くして時代の寵児として注目される存在になったのです。

青年期の哲学的探求

青年期特有の、漠然とした不安や将来への期待。それらはいつの時代も若者を哲学へと駆り立ててきました。

1775年生まれのドイツの哲学者、フリードリヒ・シェリングもその一人でした。

23歳の若さで『超越論的観念論の体系』を著し、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人として、その名を轟かせます。

シェリングは、フィヒテの主観と客観を統一しようとする思想を発展させ、自然と精神を対立ではなく、根源的な同一性において捉えようとしました。

若きシェリングの思想は、その後の『芸術の哲学』『神話の哲学』『啓示の哲学』といった著作群へと繋がっていきます。

彼は、芸術こそが、意識下に眠る無意識の世界を顕在化し、自然と精神の統合を達成する手段だと考えました。

シェリングの哲学は、後のロマン主義や、実存主義といった思想潮流にも大きな影響を与え、現代の私たちが抱える問題を考える上でも重要な視点を提供してくれます。

成熟期の思想展開

フリードリヒ・シェリングは、1775年にドイツに生まれ、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人として、フィヒテやヘーゲルと並び称されます。

彼の思想は、初期、中期、後期と大きく変遷を遂げました。

シェリングは24歳の時、1800年に刊行した『超越論的観念論の体系』において、自我がいかにして非自我を認識するのかという問題に挑みました。

フィヒテの影響を受けつつも、自然にも精神にも還元できない「絶対者」の存在を重視し、自我と非自我を統一的に把握しようと試みたのです。

その後、シェリングは自然哲学へと関心を移し、自然を精神の自由な表現と捉え直しました。

1809年からハイデルベルク大学で教鞭を執り、『芸術の哲学』などの著作を発表し、芸術こそが有限と無限を結ぶものだと主張しました。

しかし、1811年に刊行されたヘーゲルの『論理学』の影響を受け、自身の哲学の限界を感じ始めます。

晩年のシェリングは、「啓示の哲学」を構想し、理性では捉えきれない神の啓示の重要性を説きました。

1841年からはベルリン大学で教鞭を執り、ヘーゲル左派に対抗して大きな影響力を持つに至りました。

そして1854年、79歳でその生涯を閉じました。彼の思想は、キルケゴールやニーチェなど、後の時代の哲学者たちにも大きな影響を与え続けました。

晩年の活動と影響

晩年の活動期、シェリングはベルリン大学で教鞭を執り、ヘーゲル哲学の隆盛に陰りが見え始めていた1841年以降も講義を続けました。

彼の講義は、ヘーゲル哲学への批判として注目を集め、キルケゴールやエンゲルスも聴講に訪れたと言われています。

この時期のシェリングは、後期の体系構築を目指し、1809年の『芸術の哲学』や1841年から執筆が始まり未完に終わった『世界の時代―あるいは神的なものと自然のものの歴史における自由の歴史』などを発表しました。

これらの著作群では、神話や啓示といったテーマを扱い、主著である1800年の『超越論的観念論の体系』で展開された自然哲学とは異なる側面を見せたのです。

晩年のシェリングは、若い頃の自然哲学から、歴史哲学、そして神学的傾向を強めていきます。

彼の思想は、後の実存主義や現代思想にも大きな影響を与えました。

シェリングの哲学思想

フリードリヒ・シェリング（1775-1854）は、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人であり、その思想は後の西洋哲学に多大な影響を与えました。

シェリングは、23歳の若さで著した『超越論的観念論の体系』（1800年）で、フィヒテの主観的な観念論を超克しようと試みました。

自然は、意識によって創造されるものではなく、意識と同様に根源的なものとして、シェリングは「絶対者」という概念を導入します。

その後、シェリングは、芸術、神話、啓示といった領域へと関心を広げ、『芸術の哲学』『神話の哲学』『啓示の哲学』といった著作を発表していきます。

特に『芸術の哲学』においては、芸術は、理性と感性、意識と無意識を統合するものであり、絶対者を直観する唯一の道であると主張しました。

シェリングの思想は、その後のヘーゲル、キルケゴール、ニーチェといった哲学者たちに多大な影響を与え、現代思想においても重要な参照点となっています。

初期の思想：自然哲学の形成

古代ギリシャ、紀元前6世紀。世界は混沌から生まれたのではなく、アルケーと呼ばれる根源物質から成り立っているという革新的な考え方が生まれました。

タレスは万物の根源を「水」と捉え、アナクシマンドロスは「無限なるもの（アペイロン）」を提唱しました。

彼らは自然現象を観察し、背後にある法則性を見出そうとした、いわば最初の科学者、哲学者だったと言えるでしょう。

彼らの探求は、やがてソクラテス、プラトン、アリストテレスへと受け継がれ、西洋哲学の礎が築かれていきました。

特にアリストテレスは、論理学、倫理学、政治学、生物学など幅広い分野を網羅し、その後の西洋思想に多大な影響を与えました。

例えば、彼が体系化した論理学は、2000年以上経った現代でも学問の基礎となっています。

こうして古代ギリシャで花開いた自然哲学は、ローマ帝国の崩壊、キリスト教の興隆といった歴史の荒波を経ながらも、中世ヨーロッパへと受け継がれていくことになります。

同一哲学への転換

かつてドイツ観念論の旗手として、フィヒテの哲学を継承・発展させたフリードリヒ・シェリング（1775-1854）。

24歳の若さで著した『超越論的観念論の体系』（1800年）は、彼を一気に哲学界の寵児へと押し上げました。

しかし、やがてシェリングはフィヒテ哲学、そして自らの哲学にも限界を感じ始めます。

転機となったのは、1801年に発表した『芸術の哲学』でした。

この著作でシェリングは、芸術こそが絶対への到達を可能にする唯一の道であると主張し、哲学の優位性を揺るがす一歩を踏み出したのです。

その後、晩年の代表作である『神話の哲学』『啓示の哲学』において、シェリングはキリスト教的神秘主義に基づいた独自の哲学体系を構築していきます。

かつての論敵ヘーゲルから「同一哲学」と批判されたこの転換は、後世の哲学者たちに多大な影響を与え、キルケゴールやハイデガーなど、実存主義の先駆者たちの思想にも大きな影響を与えました。

中期の思想：自由と有限性の探求

自由と有限性。一見相反するように見える両者をいかにして結びつけるのか。

この問いこそ、フリードリヒ・シェリングがその中期思想において探求したテーマであったと言えるでしょう。

1775年にドイツに生まれた彼は、フィヒテやヘーゲルと並ぶドイツ観念論を代表する哲学者として、その名を歴史に刻みました。

とりわけ1800年に刊行された『超越論的観念論の体系』において、シェリングは自我の活動によって世界が構成されていくというフィヒテの主観主義的な立場を批判的に継承しながら、自然と精神を対立ではなく、同一の根源から生み出されたものとして捉えようと試みました。

彼にとって、自然とは精神が「無意識的に」活動している状態であり、精神とは自然が「意識的に」活動している状態に他ならないのです。

さらにシェリングは、芸術作品においてこそ自然と精神、すなわち無意識と意識が完全に融合した状態を見出します。

彼にとって芸術とは、単なる模倣を超えた、世界創造の根源に触れるような体験をもたらすものだったのでしょう。

この思想は後の『芸術の哲学』へと繋がっていくことになります。

後期の思想：神話と啓示の哲学

ドイツ観念論を代表する哲学者、フリードリヒ・シェリング。1775年に生まれた彼は、初期にはフィヒテの超越論的観念論を継承し、24歳の若さで『超越論的観念論の体系』を発表して衝撃を与えました。

しかし、後期のシェリングは独自の哲学へと大きく舵を切ることになります。

それは、フィヒテやヘーゲルが重視した理性による把握ではなく、神話や啓示といった非合理的なものを通じて神を捉えようとする試みでした。

自然と芸術を神への道筋と見なした『芸術の哲学』を経て、シェリングは晩年の20年間を壮大な著作『神話の哲学』『啓示の哲学』に捧げます。

そこでは、ギリシャ神話やキリスト教などを題材に、人間と神の分離と再統合の歴史が壮大なスケールで描かれました。

理性の限界を悟ったシェリングは、神話や啓示の中にこそ、人間存在の根源的な問題に対する答えを見出そうとしたのです。

シェリングの主要著作とその影響

ドイツ観念論を代表する哲学者の一人、フリードリヒ・シェリング（1775-1854）。

24歳で執筆した『超越論的観念論の体系』（1800年）は、フィヒテの主観的観念論を批判的に継承しつつ、自然と精神の統一を体系的に論じたことで、当時の哲学界に衝撃を与えました。

しかし、シェリングはその後、自然哲学、とりわけ芸術論へと関心を移していきます。

1807年に発表された『芸術の哲学』では、芸術こそが、無意識的な自然と意識的な精神を結びつけるものと主張し、ロマン主義運動に大きな影響を与えました。

晩年のシェリングは、神話や啓示といった宗教的なテーマに傾倒し、『神話の哲学』『啓示の哲学』などの著作を残しました。

これらの著作は、キルケゴールやニーチェといった後の思想家にも影響を与え、現代思想の形成にも寄与しています。

『超越論的観念論の体系』の概要と意義

ドイツ観念論を代表する哲学者の一人、フリードリヒ・シェリング。彼は1775年に生まれ、23歳の若さで『超越論的観念論の体系』を著しました。

この著作は、フィヒテの主観的な観念論を発展させ、自然と精神の統一を体系化しようと試みたものです。

シェリングは、自然を精神の無意識的な活動と捉え、芸術において両者が最高度に統一されると考えました。

自然は精神へと向かう過程にあり、精神は自己無意識の状態である自然から発生すると考えたのです。

彼は、この過程を段階的に説明し、無意識的なものから意識的なものへの移行を明らかにしようとしました。

その後、シェリングは『芸術の哲学』『神話の哲学』『啓示の哲学』などの著作を発表し、晩年にはキリスト教に基づいた哲学を展開しました。

彼の思想は、キルケゴールやティリッヒなど、後世の神学者や哲学者にも大きな影響を与えました。

『芸術の哲学』の主要なテーマ

ドイツ観念論を代表する哲学者、フリードリヒ・シェリング。1775年生まれの彼は、23歳の若さで『超越論的観念論の体系』を著し、その名が広く知られるようになりました。

彼の思想は、自然哲学、超越論哲学、そして晩年の神話や啓示を重視する哲学と、大きく変遷しました。

中でも1800年に刊行された『芸術の哲学』は、シェリング美学の頂点と称されています。

この著作でシェリングは、芸術こそが「無意識における無意識的なものの産物」であり、理性と感性の対立を超越する地点であると主張します。

自然は「無意識的な生産」である一方、芸術は「意識における無意識的な生産」であると彼は考えました。

つまり、芸術は自然の模倣を超え、人間の意識と無意識の葛藤を表現する手段となるのです。

これは、シェリングの哲学体系において重要な位置を占める概念であり、後世のロマン主義や美学に多大な影響を与えました。

『神話の哲学』の分析

フリードリヒ・シェリング。1775年生まれのこのドイツの哲学者を語る上で外せないのが、ギリシャ神話と哲学を結びつけた革新的な著作『神話の哲学』だろう。

1795年に刊行された本書は、若きシェリングの才能が爆発した作品として、後のドイツ観念論に多大な影響を与えた。

シェリングは、神話を単なる空想の産物として切り捨てるのではなく、そこに人間の精神の深層、すなわち「絶対者」への無意識的な表現を見出したのだ。

彼にとって神話とは、理性では捉えきれない根源的な真理を、詩的なイメージで表現したものである。

例えばギリシャ神話に登場するゼウス、ヘラ、ポセイドンといった神々は、自然の力や人間の欲望を象徴的に表現している。

シェリングは、神話を読み解くことで、我々が忘れかけている「絶対者」への道を切り開こうとしたのである。

『啓示の哲学』の重要性

1809年、ドイツの哲学者フリードリヒ・シェリングは、主著『啓示の哲学』を著しました。

彼は、この著作において、人間理性では捉えきれない神の啓示の重要性を説きました。

シェリングは、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人で、フィヒテやヘーゲルと並び称されます。

彼の思想は、初期の超越論的観念論から、後期の自由と歴史の哲学へと展開していきました。

シェリングは、1775年に生まれ、イェーナ大学で学びました。

彼は、フィヒテの思想に深く影響を受け、23歳という若さで『超越論的観念論の体系』を著し、哲学界に鮮烈なデビューを果たします。

その後、シェリングは、『芸術の哲学』『神話の哲学』などの著作を発表し、独自の哲学体系を構築していきます。

彼は、芸術や神話といった非合理的な領域にも、真理を捉えるための重要な手がかりが隠されていると考えました。

シェリングの著作の刊行状況

ドイツ観念論を代表する哲学者の一人、フリードリヒ・シェリング。彼は24歳の時、1795年に記念碑的著作『超越論的観念論の体系』を刊行し、一躍哲学界の寵児となりました。

しかし、シェリングの探究心は尽きることなく、その後も精力的に著作活動を続けました。

特に注目すべきは、1800年に刊行された『芸術の哲学』です。

この著作でシェリングは、芸術こそが絶対者へと至る唯一の道であると主張し、ロマン主義運動に多大な影響を与えました。

さらに、晩年には神話や啓示へと関心を向け、『神話の哲学』『啓示の哲学』などを発表しました。

これらの著作群は、後の実存主義や神学にも大きな影響を与えることになります。

主要著作の日本語訳

フリードリヒ・シェリング（1775-1854）は、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人であり、その影響は哲学、神学、芸術論など多岐にわたります。

彼の主要著作は、当時のドイツ語圏だけでなく、現代の日本においても翻訳され、広く読まれています。

シェリングの記念碑的作品である『超越論的観念論の体系』（1800年）は、フィヒテの主観主義的な観念論を発展させ、自然と精神の統一的な原理を探求しました。

日本語訳では、長谷川宏氏による岩波文庫版が広く知られています。

『芸術の哲学』（1802-1803年）は、芸術を「無意識における意識の表現」と捉え、ロマン主義芸術の理論的支柱となりました。

こちらも、作品社や平凡社ライブラリーなどから日本語訳が出ています。

後期シェリングは、神話や啓示をテーマとした独自の哲学を展開しました。

『神話の哲学』『啓示の哲学』などの講義録は、ヘーゲル哲学批判としても注目され、以後の実存主義や神学にも大きな影響を与えました。

これらの著作も、日本語訳で読むことができます。

現在の刊行状況と入手方法

シェリングの主要著作は、初期の『超越論的観念論の体系』（1800年）から晩年の『啓示の哲学』（1841-52年）まで多岐に渡ります。

彼の思想は、フィヒテの影響を受けつつも独自の展開を見せ、「同一哲学」を基軸に自然と精神の統一を追求しました。

特に、自然を精神の無意識的な段階と捉え、芸術において両者が調和すると説いた『芸術の哲学』（1802-03年）は、後のロマン主義にも大きな影響を与えました。

そして、神話や啓示を通して神を探求した晩年の著作群は、現代においてもなお解釈が続けられています。

シェリングの著作は、現在では全集や選集が刊行されており、比較的容易に入手可能です。

岩波書店からは『シェリング著作集』全10巻が、平凡社からは『フィヒテ・シェリング・ヘーゲル全集』が刊行されています。

また、筑摩書房の『世界の大思想』や光文社の『古典新訳文庫』など、主要著作の翻訳も出版されています。

さらに、近年では電子書籍としても入手可能となっており、研究や学習がより進めやすくなっています。

関連文献と参考資料

フリードリヒ・シェリング（1775-1854）を深く理解するには、主著である『超越論的観念論の体系』（1800）は避けて通れません。

この著作でシェリングは、フィヒテの主観的な観念論を超え、自然と精神の統一を体系化しようと試みました。

彼にとって、自然は精神が自己を客観化したものと捉えられ、その統一を保証するものが絶対者として構想されています。

シェリングの思想は、自然哲学から芸術論、そして後年には神話や啓示へと展開していきます。

『芸術の哲学』（1802-3）では、芸術作品において無意識と意識、自然と精神が調和する理想的な姿を見出しました。

さらに後年の『神話の哲学』『啓示の哲学』においては、歴史の中で啓示を通じて神が自己を顕現すると捉え、キリスト教を哲学的に基礎づけようと試みました。

彼の思想は、後の実存主義やマルクス主義にも影響を与え、ドイツ観念論の一つの到達点を示すものとして、現代においても重要な意味を持ち続けています。

シェリングに関する主要文献

フリードリヒ・シェリング（1775-1854）は、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人として、フィヒテ、ヘーゲルと並び称されます。

彼の思想は、自然哲学から超越論哲学、そして後期の神話や啓示へと展開していきました。

シェリングの主要な著作に触れることで、その壮大な思想体系の一端を垣間見ることができます。+

まず、24歳の若さで執筆された『超越論的観念論の体系』（1800年）は、フィヒテの主観的な観念論を発展させ、自然と精神の統一的な原理を「絶対的同一性」として捉え直そうとしました。

その後、シェリングは自然哲学から芸術論へと関心を移し、『芸術の哲学』（1802-03年）において、芸術を「意識と無意識、精神と自然の融合」として位置づけました。

これは、後のロマン主義芸術に大きな影響を与えたとされています。

晩年には、キリスト教神学の影響を受けつつ、『神話の哲学』『啓示の哲学』（1841-54年）などを著し、神話や啓示の中に理性では捉えきれない真理を見出そうとしました。

これらの著作は、キルケゴールやニーチェなど、後の思想家たちにも影響を与えています。

研究書と論文の紹介

フリードリヒ・シェリング（1775-1854）は、ドイツ観念論を代表する哲学者の一人です。

彼は、フィヒテやヘーゲルと並んで、19世紀ドイツ哲学に大きな影響を与えました。

彼の主著である1800年の『超越論的観念論の体系』では、フィヒテの主観的な観念論を発展させ、自然と精神の統一的な原理を「絶対的同一性」として捉えました。

シェリングは哲学体系にとどまらず、芸術や神話を哲学の考察対象とすることで、後のロマン主義や、実存主義といった思想にも影響を与えました。

とりわけ、1800年の『芸術の哲学』では、芸術を「無意識における意識の表現」と捉え、芸術作品における無意識と意識の調和を論じました。

その後、晩年の1841年から1854年にかけて執筆・講義された『神話の哲学』『啓示の哲学』においては、キリスト教を哲学的に基礎づけようと試みました。

彼は、自身の哲学を「同一の哲学」と呼び、その発展段階に応じて哲学体系を構築しました。

その集大成ともいえる『世界の時代』は未完に終わりましたが、現代においてもなお、彼の思想は多くの哲学者に影響を与え続けています。